しあわせの黄色いたこ焼き(withoutたこ)

izumi_yu_ki2004-05-26

切り口がひからびたキャベツ片と茎がへたりはじめたセロリを捨てるのが忍びなくてせめてもの愛情とばかりに細かく細かく刻み同じくひからびた長芋をすり鉢ですりおろして少し粉入れて出汁入れてフライパンでこうばしく焼いたら妙にうまかった。

八宝茶飲まずにいられない。和風の食事にはやっぱお茶がいい。漢方薬入りのを濃い目にいれて朝から一服。

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いつもなら捨ててしまう古い野菜を捨てなかったのは、雑誌で「森のイスキア」の記事を読み、それに影響されたからだ。イスキアの主宰は佐藤初女さん。心や体の疲れた人をイスキアという家でむかえ、心づくしの食事をふるまい一緒にすごすことで癒すという。

その食卓にのぼる材料は差し入れで賄う。食材はスーパーに並ぶ美形の野菜ばかりではないし、保存しているうちに芽が出たり乾いてしまったりもする。そんな普通の家庭なら捨ててしまうような野菜も捨てない。ゆっくりゆっくり丁寧に皮をむき、ゆっくりゆっくり刻み、野菜の表情を見ながら料理していく。やがて胸の中に染みとおるように優しい料理ができあがる。

芽のはえた人参や変色してしぼんじゃった茄子は、確かに新鮮なものより味が落ちている。だが、食べられないことはない。家業で八百屋を営んでいる知人も言っていた。「野菜はね、賞味期限なんてないんだよ。溶けて形がなくならないうちは大丈夫」

とれとれピチピチの新鮮なあれこれが美味しいのはもう、よくわかっている。だから今は、一度手に入れたもの、関わったものは朽ちるまで大事にする、ということを身につけるべき時期として、ちょっと頑張ってみたりしてる。食べ物に限らず。

残り野菜で作った生地は、計量スプーンですくってポトリポトリと一口ぐらいにフライパンに落とし込んだ。ぼうっとフライパンの肌を見ながら、考えごと。

(・・・ユッカちゃんの彼氏はたこ焼き作るのが上手だって言ってたなあ。なんか、幸せそうだったなあ。あやかりたいなぁ。・・・そうだ、じゃあ)

と、やおら焼きあがった生地を計量スプーンに再び押し込み、ひっくり返してみた。するとアラ、見た目はたこ焼きそっくり。すごい美味しそうに出来上がった。おお、すばらしい。専用の器具がなくてもできたぞ。たこ焼きだ。幸せの黄色いたこ焼きだ。

できばえに喜んだ私は、ほくほくと弁当に詰めて持っていった。で、さっき食べてみたら、たこ焼きとはちょっと違う味。そりゃそうだ、たこ入ってないんだもんね。でも、山芋たっぷり入れたお好み焼きみたいで、これはこれでうまかった。

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食後、からだじゅうが猛烈に痒くなったのは、別に野菜が古かったからじゃない、よね。単に山芋にかぶれただけだよね?
(鼻の穴の入り口にムヒを塗りながら)