土曜日に告げられたこと。

のまずにいられない癖が遺伝子を傷つけてしまったのならもうあまり馬鹿みたいに飲むことはできないのだろう冗談でもなんでもなく生命がかかっているのだから。

息をのまずにいられない。重くて開けにくい横開きの扉をこじあけると見える診察室、丸椅子、ライトボード、笑うナースと医師。

がん告知を受けました。

右側乳がん。サブタイプはルミナルB、ステージはあまりあてにならないけど今のところ1、メスを入れることは決定。残すか、残さないか。それと自分に無意味な化学療法を選択から省くために必要な保険適用外主要検査をするかどうか。あと6日で決めなければならない。

年明け、どうしようもなく体が重く起き上がれない日が続いた。ついに来たかと婦人科でエストロゲン検査を受けた。

「更年期ですね」

ホルモン投与を受け始めたがあまり効果が上がらない。そんな中、ホルモン投与でリスクが上がるという乳がん検診を超音波エコーにて受けた。

「2つ、疑わしいものがあります。この様子だと悪性かもしれません」

その場で紹介状を渡され、自分でその都立総合病院に予約を入れた。ただ、頭が事実を把握しておらず動揺のあまり直後に手帳を紛失し、眼鏡を落とした。その日の夜はデパスを使って強制的に睡眠をとった。

6月末、多摩総合医療センターで精密検査マンモトーム、超音波下針生検。がん確認。翌週、造影剤MRIで乳輪下に3つめの腫瘤疑発見。細胞診と針生検。

そして2日前、土曜日。細胞診ではクロ、針生検ではシロ。源病巣からの派生かもしれないとのこと。部分切除、或いは全摘と再建、どちらかを決めてくださいと、熱くもなく冷たくもないトーンで主治医が言う。

調べすぎるのはやめようと思っていたが調べ蓄えてしまっていた知識を掘り出して散らかしながら聞く。きちんと答えてくれる。ただ、なぜ転移がないと現時点で言えるのか、それは腫瘤がたいへん小さいから、という根拠に疑問を持つ。開けてみないと正確なところはわからないという。

拙は、おおむね納得したが聖路加病院でセカンドオピニオンを受けさせてほしい旨を伝えた。今週末までに書類を揃えてくれるようだ。

いま、いつもの通勤電車に乗ってこの日記を書いている。病気についての本や療養ノートでかさばるトートを抱え、杖を持ってヨタヨタと。

会社に着いたら高額医療限度額申請書を提出し、聖路加に連絡を入れる。

まさにこれは、終わりの始まりだ。