手を離れ、形を変えて舞い戻る
うすいアイスティーのまずにいられない。
夜だからカフェイン少なく。
アールグレイの香りは弱まってしまうがそれでいい。
いまの町に越してきて6年半、
一度も使わずにいたディフューザーに水を入れ、
エッセンシャルオイルを垂らしてスイッチを入れた。
雨上がりの森の匂い。
すこし前に繰り返し観ていた
かぐや姫の子供時代の情景を思い出す。
鳥、むし、けもの、草、木、花
咲き、実り、散る
生まれ、育まれ そして死んでも
また順繰りに生まれくるのだ と
わらべは歌う、深く意味を考えずに。
エンディングのリフレインは、
もっと心が安らいだ時にフルコーラスを聴く。
今は真正面から受け止めてしまいそうなので。
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いまのすべては
過去のすべてである。
わたしたちは また会える
懐かしい場所で。
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こわがりな拙は、
友たちに助けを求めた。
忍耐や出費や別れが続くたいへんな時期なのに、
わがまま放題に生きていやがった女のために
時間をさいて耳を傾けてくれた。
少しでも役に立つなら、と
人としていささか歪な女に、優しくしてくれる。
徐々に縁が薄くなっていた界隈の方とも、
思いがけぬ形で、支えていただいた。
拙がかつて種を蒔いたものが芽吹き枝をのばし、
小さな実りになって手のひらに集まってる。
執刀する医師も施設さえもまだ決まっていない。
明朝早く、セカンドオピニオンの申し込みに向かうが、
いつ話を聞いてもらえるかはわからない。
瞬間で決断すべきことと、
延々と順番待ちすること。
この両方を、不安定ながらもこなしてる。
もうそれほど残りの時間はないが、
急かされるほど、動きが鈍くなる。
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これからお前は人間として生きるのだ、と
いきなり生まれ落ちた赤子のようだ。
ただ泣いて排泄する時期を超えてから訪れる、
突然訪れる「人間にならねば」と観念する日。
早くその刻が訪れてくれないだろうか。
人生レコーダーをちょっとだけ早送りして欲しい。
そんな心境で、週末を過ごした。