貝の印はガードつき

たぶん春だったと思う。あの痛みとはどんなもんなんだろうと思い、物理を手首にあててみた。ガードつきのモンなんて所詮深くは入らない。白く表面を引っ掻くだけだ。持つ指先にだんだん力がこもる。失愛のマークをつけようとムキになる。だらしない皮膚はやがて負け、薄い朱の線が何本も盛り上がった。だけど迸るほどの結果は得られなかった。痛感はひりひりする程度。でも傷はよくみると今でもわずかに残っている。滑稽な跡だ。


君はセイフティのない物理を何度もあてていたんだね。
心の光と闇はいまどんな感じかい?