小さなほころびなど、黙って繕えばよかった

まだ二十歳にも満たなかった頃、口約束ながら結婚を約束していたひとがいた。当時のわたしはガスコンロの火をつけることさえ苦手な女で、サッポロ一番を渡されても、やたら汁気の多い、のびきった素ラーメンしかこしらえることができなかった。彼と静かな夜を過ごすより、サークルの飲み会で安いチューハイを飲んで盛り上がる方ばかり選んでいた。楽しくて約束の時間を守れず、しかも酔って帰ってきても怒らず、仕方ないネとさびしそうに笑って許してくれた。あまりにも優しくて、優しすぎて、わたしは自分から彼を愛することを怠ってしまった。


現代詩「なんか」?バカにしないでよ。
どうして自分の力で就職活動しちゃいけないの?
体を壊すぐらい頑張ってみたいの!


好意を踏みにじりながら突っ走り、ふと気が付いたら、私にはなんにも残っていなかった。たくさんの会社からご縁のない紙切れをもらった。コンクールにも全部落ちた。そばにいた彼は、愛しているけどもうあきらめたと言い残し、他のひとの手を取って消えてしまった。