ソラニンの毒

何年か前に突然消えてしまった彼の本棚には「ソラニン」があった。多分初版だったのではないだろうか、読んだ時、涙鼻水ダダ溢れしたことを覚えている。ずっと気になっていた本作を、今月やっと手に入れた。

一気に読むと、ちょうど1本の映画を観終わった時のような疲れと痺れを感じる。小さい町の、小さいひとたちの、小さい才能の芽生えと収束。あらゆるスケールが小さいのだけど、登場人物たちの心象風景はびっくりするほど広い。

ここまで深く思いを巡らせる人なら思い切ってデカいフィールドに飛び出してもいいはずなのに、彼らは躊躇した末に色々なことを諦めてしまう。感動的な作品と評価されるこの作品、わたしはひたすら、じれったい。恐らく近親憎悪的な意味で。

ソラニンってジャガイモの芽に含まれる毒で、たくさん食べると中毒を起こすって家庭科で習ったよね。

この漫画の毒って何だと思う?

ソラニン 1 (ヤングサンデーコミックス)

ソラニン 1 (ヤングサンデーコミックス)