お湯割りとジンジャ―・ビール
妹の娘が七五三だからと婚家に招ばれたパーティー前日実家に戻ると冷蔵庫にあるものしか出さないヨと言いながらも母ひとりでは食べなそうなガーリック味のチキンソテーやトマトや炊き込みごはんをホクホクと出してきて不肖の長女はウコンの力を手渡しながら自分の分ぐらい持ってきたよと最近気に入ってる生姜味のビール500缶を持ってきて飲ませたらナーンカマズイネエといつものように焼酎の湯割りで晩酌する母にわざとブウとふくれ面を見せ間もなく宴はおわり母はねむり長女はふと本棚に並ぶ見慣れぬアルバムを取り出して開いてみるとそこには母と妹と遠くに住む父や死んだ祖母や叔母や叔父らが古びたモノクロームから鮮やかさが残るカラー写真まで一緒くたに並べて貼られてた我が家族らの備忘録。
しずかに涙をこぼしながら、ビールのまずにいられない。
ベストショットの前後に撮ったやつとか、あとから親戚に送られてきたものとか、アルバムに貼る優秀作からはずれた写真たち。家のあちらこちらに散らばっていたであろうそれらを、ひとりで暮らす母が集め、そのために買ったアルバムへ無作為に並べていったのだろう。何も言わずに。
おかあさん。おかあさんの、ばかちん。