「What is Love?」−−ある年の、秋の、テキスト

ランドリーの中でTシャツとジーンズとしましまトランクスと穴あきソックスが回っている。濁った水を味気なくかき回すのは灰色の羽。こんなんで本当に汚れがおちてるのか? よくわからない。いや,原理的にはわかっているんだけど。


もともと一人でいるのが好きで,積極的に外に出たいって方じゃなかった。二十歳を過ぎてそれじゃマズイよなって気がついて,無理やり自分を外の世界に向けてきた。おかげで友人は増えたし遊びも覚えたが,スカッとした爽快感はいまだに感じられない。
真っ白だったぼくの心は,もしゃもしゃと掻き乱されるごとにくすんでいるようだ。きれいなものを見たり,聴いたり,柔肌を揉んで寝たりしても,取れない。いくら洗っても取れない。そのことに気づいた時,少しだけかなしかったけど,まぁそんなもんだろうと打ち消した。生臭い感情に振り回されるのは今でもあんまり得意じゃないから。


ぼくはもうすぐ、女の子と同居する。


なりゆきで,そういうことになった。
彼女を心から愛しているかどうか自分でもよくわからない。ただ心をこする洗濯板が欲しいだけなのかもしれない。二人をこすり合わせると,お互いかえって黒く汚れてボロボロになっちゃったらどうしよう。簡単に捨てられないしな,と怖くなるが,とりあえず水流にまかせてぐるぐるとすすがれてみようと思う。


新しい水を注入して。びちゃびちゃの15分。のち脱水5分。それからかさかさに乾燥。