レモンティー、のまずにいられない
去年のいまごろ、あまりにも華々しく咲く桜の花を正視できなかった。花弁が散り誰もワアきれいねエと見上げなくなった頃にやっと顔を上げることができたのだった。
脂肪の服を厚めに纏っていたのが、摂取カロリーが減り酒量も減り、日に日に余分なものが削ぎ落とされていった。自分を抱きしめると、隠れていた肩骨を手のひらで確認できるようになっていたが、今わたしの肩は、うっすらと筋肉のヴェールで包まれはじめている。
つまるところ、ナイーヴな季節は過ぎたのだ。今後はマッチョに生き抜かねばならぬのだ。
それはもう、最初に出会った時からもう決まっていたことだった。記憶はあいまいだけど、オレンジ色の手帳が持ち主に代わって覚えていた。若葉色の相棒と2008年の春をはじめる。
あなたと飲みたい。甘くてすっぱいレモンティー。