タンデム・ラナウェイ
いちど手に入れたものを易々と手放すことが出来た頃の身軽だった自分に戻りたいと思うことがある。もうこれ以上の恋なんてできないと顔の形が変わるほど泣き明かしている渦中にもうスイーツを見つけて追いかける運動神経を懐かしむこともある。
“人生ってすべてが手遅れのようでいて、いま始まったばかりという気もする”とうたうキリンジの新譜を聴きながら、いま自分は人生旅行のどこらへんの風を感じているんだろうかと考えるがよくわからなくて、心を部屋干し中の洗濯物と同じハンガーに引っ掛けてとりあえず保留。
最近、PCにSkypeをインストールした。小遣いを気にすることなく何時間も延々と会話できるのだが、慣れないせいか会話に手ごたえがなく、いくら話しても話し足らない気がする。内容はいつも同じようなことをループさせているようなもんなのに、そのつなぎ目が見えなくて締めぎわに困る。腑に落ちない感の大きいツールだが、それでもほぼ毎日、ディスプレイに向かっておやすみを告げ、おはようを呼びかけ、いってきますと電源を落とす。
カーテンレールに引っ掛けっぱなしのあれこれを、整理しなければ。
- アーティスト: キリンジ
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