MY SELF&FUNNY パンケーキ

izumi_yu_ki2007-07-11

突然、ホットケーキが食べたくなった。


自他ともに認める辛党のわたしが唯一作っていた甘いもの。それは恋人と迎えた朝、市販の粉を使って焼くホットケーキだった。


空のお皿とフォークを前にニコニコ待つ彼のために、いそいそとボウルに粉を入れ、卵を割り、腹をこわすからめったに買わない牛乳なども入れ、引き出しの奥から取り出した泡だて器でさくさくかき混ぜる。そしてテフロンのフライパンをふきんにジュッといわせて狐色にこんがり焼き上げる。

小さく可愛く作りたいのに、お玉でしゃくう時につい欲張ってしまうから、いつもフライパンぎりぎりまででっかくなってしまう。薄く広げてマンガみたいに何枚も積み重ねたいのに、思いがけずふくらんでしまうからあんまり重ねられない、わたしたちのホットケーキ。メイプルとバターを乗っけてナイフで切り分けると、切り口にじゅっとしみこんでおいしそう。ひとつのお皿に向かい合って、ひとかけずつ取り合いながら食べた、わたしたちのホットケーキ。最後に作ったのは何年も前のこと。


ひとりで食って寝て遊ぶ生活が長くなり、ホットケーキの存在さえ忘れていたけど、注文を受けるたび豆を手動ミルで挽くところから始まる職人的コーヒーを飲みに出かけようとした時、その衝動に襲われた。自分のためにそういうものを作りたいだなんて今まで考えたこともなかったのに、突然そういう気持ちになったのだった。


本当はベーキングパウダーだけ買ってイチから作りたかったが、ローソンには見当たらなかった。仕方がないので100円のケーキミックスを買い、半袋を使ってさっそく焼いてみる。

ほどなく、顔ぐらいのが3枚、焼きあがった。ドラ焼きぐらいの大きさにしてジャムサンドにするつもりだったのに、やっぱり大きくなってしまう。自分のためのホットケーキ。

横にナイフを入れてみると、マフィンみたいにスルスルと割れる。不思議だな、なんでだろうね。で、下のにクリームチーズとブルーベリージャム、そしてハチミツをひとたらしして、上からかぶせる。

両手でぐわっしとつかんでひとくち、ふたくち。けっこうなボリュームだが、一気に全部食べ終えた。ホットケーキにおあつらえむきの小さい皿には、ぽろぽろの食べかすがいくつも残った。指でつまんでそれも全部口に入れる。ごちそうさまワタシ。おいしかったよ。いいえ、どういたしましてワタシ。


ひとりスイーツも悪くないね。