牛乳で育つトリプトファン、醸しだされる幸福感

昨日覚書の通り、土曜日は美味なる肉々しい夜を過ごしたわけだが、翌日はどういうわけかひたすら眠くてたまならかった。牛肉に含まれるトリプトファンのせいだろうか。マイナートランキライザー並みの効き具合。


ボンヤリした幸福感(満腹感)に包まれたまま来週分の備蓄食材を買い出し、茹でたり丸めたりして冷凍庫に詰めていたらあっという間に出かける時間。あわてて準備し、いざ大久保。まだちょっと眠いけど、「CELIN」のライブに遅れるわけにゃー、いかん。


学生時代、某大学のRockFanClubというサークルに在籍していました。週一度の定例会に集合し、月二回はレビューや雑記がみっちり詰まったA4版の会報(取っておけばよかった・・・)が配られ、で、毎回飲み会。年に数回吉祥寺の“シルエレ”で定例ライブ。年度によって比率は違ったものの、当時はリスナー半分・プレイヤー半分で、ロックを追求する割合マジメな音楽サークルだったと思います。(でもそこはそれなりに、それなりなイロイロはあった模様。あたしは蚊帳の外でジタバタしてただけ)


で、サークルに入部した時には既に伝説と化していた一番の出世バンドがCELIN。あの頃は、触れることのできない「伝説」や「先輩」ってもんに、自分でも呆れるほど弱かった。文化のいい匂いが漂う諸先輩に激しく憧れを抱いていた。その雲の上の先輩方のナマが、やっとやっと。やっとやった、やったぜ。リアルで拝見ははじめてだけど、家でCD聴いて予習は済ませた。さあ。さあさあ。


・・・40分は、しかし短かかった。


あっと言う間に夢は過ぎ去り反芻する間もなく座敷へ誘導されテーブルの上にはピッチャー入りのビールが待っており煮物サラダ揚げ物のあとに来た刺身盛り合わせの中骨はピクピクと震えながらライブ開催を祝っていた。その動画を急ぎ撮影しているうちに〆の時間が迫ったので体を小さく折りたたんでメンバーの隙間に潜入し一緒にタクシーに乗って新宿へ移動。ロックバーに入り曲をリクエストするも著しく店の雰囲気に合わないラインナップで勘弁してくださいと断られ、しかしディスプレイに映し出されたフレディのボヘミアン・ラプソディに合わせ全員で激しく歌う、平均年齢すんごい集合体。



当時はチャン付けで呼ばれることにいささか抵抗があった(女子大生扱いされるより、野郎のように名字呼び捨てで呼ばれたかったナマイキ盛りゆえ)けど、いまはむしろ嬉しい。呼ばれたらシッポ振って元気に反応いたします。「まるこちゃん?」「はいっ!」「せんぱいっ」「おう?」「次のライブはいつですか?」「んー・・・」


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なぜこんなに嬉しいかって、そこに自分の居場所がちゃんとあったからだ。長いこと懐かしい人に会えないでいると、その時代ほんとうに自分がそこに居たのかどうか曖昧になってしまい、しまいにゃあれは頭ン中でねつ造した夢のエピソードではと、どんどん思い出の足元がグラついてくる。グラついていた。


懐かしい人たちは、わたしの名前を知っていてくれた。思い出の共有も叶った。あたし居たんだ、と思えば、安心してむかしを忘れていられる。よかった。さびしくない。