美しいひとに、あるいは清らかな人に

長いこと小川洋子みたいな作家になりたいと思っていた。清楚でいてこの上なく先のにぶい毒針をもっている。家族もいて、普通の生活をしていて、普通の人間を描くのにそこは決してクリアな現実ではない。書くもの、ライフスタイル、全部にかなり憧れていた。

今でもその気持ちは持っている。しかし拙の場合、持ち毒はむしろ抜いたほうが良いのではないかと思っている。なぜなら、過去の傷や育ちに由来する直截的な毒は、本人にも対人にとっても、ただ苦々しいだけだと、ようやく気づきはじめたからだ。

美しい佇まいをもつ女になるために、毎日少しずつ前に進んでいる。目標を立て、反省し、失敗し、うまくいき。ここ数週間、実は頑張ったゆり戻しがきて不安定ではあるけれど、昨日を思い返すことをできるだけ少なく、今日をがんばり、明日のことは見通しをつけるだけにする。

美しいひとになりたい。