サビとは曲のことじゃなくて

新年早々仕事始めの昼休みお節料理で疲れた胃腸は優しいごはんをねだるから回転寿司屋で目の前にあるものとりあえずドカサカモグモグと頬張っていると隣からすいませーんツブガイとトロさびぬきでェとあどけない声で偉そうに注文する子にちょいと驚きそっち見やれば両側には埃っぽい服を着たしおしお父さんと鮮度の悪いサバみたいな目ェした母さんがいてさらにもっと注文しなさいいっぱい食べなさいとけしかけていてさらにサビヌキ言葉を発する子ども。

粉茶のまずにいられない。深い溜息をゆっくりと噛み殺す。

いいか、そこのご両親。「サビヌキ」は寿司職人間の業界用語なんだから、客が使うなんて野暮ったくて聞いちゃいらんないね。自腹で寿司を食らう粋人だったら絶対に使わない。普通に「わさび抜きで」とお願いしなさいよ。そして、ましてやテーブルから肩が出ないほど小さい子供にそれを使わせちゃいけない。子供の「お里」が知れるってもんだよ。

見るとはなしに両親の顔を見る。いっぱしの何某を気取る人たちってなんでこんなに美しさとはかけ離れているんだろうなぁ。