鍵盤ハーモニカのささやき

先週末、夏秋文彦さんという鍵盤ハーモニカの名手に、買ったばかりのスズキM-37を抱えて弟子入りした。体験レッスンということだったのだが、その日の夜にさっそくテルミンとのアンサンブルでライブ演奏を考えていたので、自分で書いたアレンジ楽譜を広げ、弟子入りの動機と今日教えていただきたいことをこちらからお願いしてみた。不躾な願いにも関わらず、ニッコリと笑って応じてくれた夏秋氏。


基本の吹き方や練習法、循環呼吸の方法までたっぷり教わった上、その場でアレンジを修正して、最後には先生と自前の楽譜でいきなりアンサンブル。こちらはついていくので精一杯だったが、精一杯の気持ちをこめて音をなぞると、ふたつの鍵ハモの音色が夢のように溶け合い、ド素人にはもったいないぐらいのすばらしいアンサンブルを体験できてしまった。単音ふたつのシンクロが、こんなにも美しいとは。思わず涙が出そうになったぐらいだ。

軽く、電源が要らず、和音が出る鍵盤楽器。今後は、両手弾き(黒鍵のほうから左手を使う)や、いつまでも音が途切れない循環呼吸、アドリブアプローチなどにも挑戦してみるつもりだ。学校で足踏みオルガンの代わりに使う楽器、というイメージはすっかり覆された。管楽器のような色っぽい音が出る名機、M-37を手に入れたことも、きっと縁なのだろう。