へこんだボールは弾力を増して飛ぶ

タナカヒロシのすべて」という映画の中に、テルミンと俳句の会という趣味の集まりが出てくる。メインは、会員が毎回テーマを決め、外に出て俳句の材料を見つけ考え、発表しあうというもの。ひとりずつ発表していくたび拍手が起き、よいところを誉めあってお開きになる。


それはとても平和なサークル活動だが、俳句を本格的に上達させる場所ではなかった。誉めの評価ばかり掬い取っていくと、だんだん自分の力量に錯覚を起こしてきて、自己流の「ひとりごち」になりがちだ。小さなサークル内で通用することが外でもまかり通るかといえば、ほぼそれは皆無と言ってもいいだろう。きちんと技術を磨こうとするならば、辛らつな評価も不可欠。甘い言葉だけでは人間、成長できない。


テルミンは無論、web上にのせる文章だって、毎日うまくなっていきたいと思う。そのためには予定調和を求めず、定点をつねに持ち、平衡感覚を養い、集客にがっつかないこと。あせりは禁物。自分のペースで、ゆっくりまったりと。たぶん人生はまだまだ長いから。