テルミンレッスン・初級4回目

先週憑き物にうごかされるように練習した成果は、自分ではまったく実感できなかった。先生の前に立ち、「モー、ドーニデモシテー」という気分で披露したが、ビブラートもきれいに“ワインワインワイン”と共鳴してくれないし、音程を取ることにもあまり神経がいきとどかず、ぼーっとした状態で弾き終えた。

すると「ビブラートも安定しましたね。全体的に力が抜けて良くなりました」と、はじめて(といっていいくらい)褒められた。その途端から「わーほめられたー」とポワーンとして、恥ずかしながらあとはレッスン終了まで夢の中。

でも、同期たち演奏はさらに上達しており、先生の褒めにも力がこもる。「思わず普通に聴き手になっちゃいましたヨ」とかイイナー。「ビブラートは最初からきれいにできてるから大丈夫」イイナーきれいな音でててー。「ピッチがきれいですね」ほんとにキレイなんだもんなー。

そんな中、いつも頭ひとつ優等生なヴァイオリン経験者のテルオさん(仮名)だけが苦しそうな顔をして首をかしげている。勉強熱心ゆえの混乱の壁に当たっている様子。先生にもみっちりと矯正されていた。「先生はぼくをいぢめることを楽しんでるような気がする・・・」とかいって萎れていたが、いやいや。もうビブラートも完成していて、表情づけも断然うまいテルオさん。今年の秋に催される区の音楽会にエントリーしていて、数ヶ月後にはテルミニストデビューを控えてるんだから、そりゃもう先生からハイレベルに鍛えてもらいでか。

レッスン帰り、スタジオのエントランスにいつもの猫がいた。どうやら近所の猫じゃなくて、スタジオ運営してる楽器屋で飼ってる猫だったらしい。皆で駆け寄り、毛皮をぐにぐにといじる。レッスンの緊張と疲れがとれるワー。エントランスに座り込んでぎゅーーーーっとハグすると、うっにゃーーんと腹を出してゴロゴロ。愛らしすぎる。

テルミン小僧5人衆は、かれを楽器屋の名前にちなんで「モリ」と勝手に名づけた。モリちゃんに今度あえるのは3週間後。それまでどれだけ上達するかなぁ。