中学生が考えるご馳走とは

izumi_yu_ki2005-11-22

無闇に高いものがうまいとは限らず特に冠婚葬祭の際には気持ちが何よりも大事だとつくづく思うたとえば紀宮の披露宴でふるまわれた酒は歌舞伎町の地下で盛大に抜かれるピンドンより何千倍何万倍も泡だち心地よく滋味たいそう深かったろうし夕飯前の子供にいくらキャビアをふるまっても満足しないだろうし。

ダイエットコーラのまずにいられない。シャンパンのこと考えてたら喉が乾いた。シュワッとね。

今頃、祖母は冥土への入り口で水っぽい体をぱっぱと焼き捨てているところだろう。昨夜のお別れで棺をあけ、ちょっと震えながら頬に触り、手を握った。すっかり気温と同化して冷たくなったばあちゃん。薄く紅を差した顔が驚くほど母に似ていて、つい母に言ってしまう。「いやだぁ・・・」と軽く眉をしかめ、ふと泣きそうになった母は、やっぱりばあちゃんにそっくりだった。いやだぁ・・・。

夕方の下り京浜急行は5時前でも結構混んでいた。でも優先席をなんとか確保。横に立った女子学生二人は交互にチョコレートパイを頬張っている。そりゃあこんな時間にゃ腹も減るだろうが、やれやれ、と心の中で「OH,NO」のしぐさをしたところで、彼女たちの声が一段と大きくなった。安達祐美とダンナの「あまーい」から、なぜか前カレとの年の差について話が流れていく。

「考えられる?中3でさ、今生まれたての赤ちゃんに惚れることになるんだよ」
「いやありえるよ、アタシ自信ある、多分年下と恋愛するね」
(えっ、10代にして年下好き宣言?)
「そしたら親に報告するんだよね」
「そうそう『お父さん大事な話があるんだけど』なーんつてさー」「ねっ」
「そしたらさー呼んでよー。んでご馳走してよ」
そだねーご馳走食べなきゃねー。ファミリーレストランでどう?」
「げっ、なーに言ってんの。ファミレスなんていつでもいいじゃん。フレンチがいいよフレンチ。フォアグラ」
「中華もいいね。フカヒレとか」「うん、フカヒレフカヒレ
「それとさ、エビチリだね。あたし大好き。それとカニ玉。あとはーすっごくおいしいラーメン食べたい」
「いいねいいねー」

よっぽどお腹すいてるんだね。しかも婚約パーティーがファミレスとか(ぷぷっ)、大ご馳走がカニ玉とかエビチリとか(そりゃそうだけど、ぷぷぷっ)とどめが“おいしいラーメン”て。ぷぷぷぷぷぷっ。発想が可愛いよなあ。寿司屋で「コハダ、サビ抜きで」なんて言う蝶ネクタイのジジガキよりよっぽどいいじゃん。コラーゲンは乙女の肌にいいからヨシとして、あとはとにかく、おなか一杯にならなきゃご馳走じゃないよね。

そうそう。拙が学生の時とにかく食べたかったのは、駅前の「三越プラザ」の最上階にある喫茶店の「スパゲティ・ミートソース」だった。腹が破けるまで食べてみたかったなぁ。あ、あと寿がきやのチャーシューメンとソフトクリームも。

と、セイシュンを懐かしみつつ、本日も簡易手弁当。冷凍エビシュウマイとウインナ。ひたし大豆は缶詰を甘辛しょうゆ味のタレに昆布と一緒に漬けただけ。シュウマイと一緒に野菜を蒸してからし醤油で。いいんだ普段はこれで十分なの。物足りない分はイメージで補う。山口瞳の「酒食生活」でも読みつつ。