九月の雨はまぶしくて

izumi_yu_ki2005-09-06

始発から二つ目の停留所から通勤バスに乗ると一人掛けシートはすでに塞がり後方の二人掛けにも一人ずつ散らばりどの人も隣に座らないでという顔をしているがそれもむなしく続々と声の大きなオバチャンたちに占領される中ひとつだけ埋まらない席があり。

カフェオレのまずにいられない。相変わらず目覚めが悪く、朝いちばんのカフェインが必須。

久しぶりに曲げワッパの弁当箱を使った。おかずは手抜き。作り置きのさつまいも甘煮とハンバーグとこんにゃくと冷凍保存しといたスーパーの芋コロッケ。普段は横にスペースを空けておかずを詰めるが、今日は真ん中にごはんをポンと置き、周りの隙間におかず。最後に好物の辛子明太子をポトン。アア久しぶりだねェ暑いと入れられないもんネェ。

片寄らないようカバンを小脇に抱え、できるだけ静かに道を歩く。バスは冒頭の通り、ほどほどに混んでいたが、二人掛けの席の一番前方が一人分空いていたので座る。赤の他人とペアシートに座るのはちょっと憚られるし、隣のご夫人は横に大きく張り出した結構な体格。遠慮がちに尻を半分ほど乗せ、肩が触れないように脇の手すりを握る。

実は後ろの二人掛けも一人分空いていたのだが、ちょっと座る勇気がなかった。そこには高校生らしき長髪の男の子が座っていた。黒いスラックスにポリエステルの白シャツ。茶髪の前髪は色白の顔を半分覆い隠し、合間から見える瞳は薄茶色。ちょっとナル入ったパンクっぽい風貌。決して車内を見渡そうとはせず、ずっとグッと窓の外を見据えたまま微動だにしない。他人を半径50cm以内に近寄らせない、絶対的なバリアがはられているように感じたのは拙だけではなかったはずだ。終点が近づくにつれて混雑してくる車内でも、彼の横はずっと空席だったから。

どんな席でも無造作に座る“みのもんたのお嬢さん”たちも、さすがに彼のオーラには敵わないよナア、と、ほくそ笑む。自分だって座れなかったくせにさ。