きれぎれの蕎麦をたぐり

izumi_yu_ki2005-08-04

残業を終えイケナイとわかっていながら空腹のままビールとチューハイ一気に流し込みそれでも足らず酒だ酒買ってこぅいと不機嫌になった自分はまるでロクデナシの亭主みたいで。

めんつゆのまずにいられない。手作りの。

精神的につらい仕事が続いたせいか、張りつめた糸が切れそうになった。ふだん隠してる汚れた中身がこれ以上飛び出しては、人として女としていけない、と思い、午前中休みをとった。体がものすごく重い。熱はないが、お腹が苦しい。しばらくじっと横になったあと、何か食べなきゃ、と起き出し、ザルそばを作った。

乾しソバを茹でている間、ひとり分の出汁を引く。昆布を水に入れて火をつけ、沸いたらすぐ鰹節いれて火止めて放っておく。醤油とみりんを混ぜてあたため、出汁を入れる。味見をしたところで、少量だったらみりんを煮きらないほうが却っておいしいということに気づくが、まあいい。

薬味はワサビと一味唐辛子。そして炙りなおした焼き海苔を散らす。味は、まあ、普通。「笑っていいとも」をみながら、機械的に箸を動かし、無表情で食べる。

愛読書「TOKYO KITCHEN」に登場する若い芸者さんの自炊スタンスは「台所が汚れず、サッと作れてサッと食べられること」。昼は稽古だし、仕事は座敷で忙しいし、帰宅が深夜になるしで、ゆっくりあつらえる余裕はなさそうだ。それに、確かにそばなら食器も鍋も油がつかないので片づけもラクだ。気持ち、わかるなぁ、としみじみ思いつつ、洗い物をすませた。

冷蔵庫には、ロクデナシ亭主に変身して暴れている間にJKがこっそり作り置いといてくれたお総菜がある。今夜は、晩酌の前にしっかり食事ができそうだ。ごめん。ありがとう。