ほうれん草の乳首

izumi_yu_ki2004-12-09

せっかく買った新鮮なほうれん草をうっかり3日冷蔵庫で寝かせてしまいアア寒かったネゴメンネと深夜パジャマ姿で湯を沸かし固めに茹でてボウルに放つとつべたい透明ゼリィみたいな水の中でみるみるうちに鮮やかな緑がたゆたう。

ひさびさにマカディア飲まずにいられない。寒かったので湯あがりビールはやめ、おやすみリキュールに切り替えようかと思っている。

寝る直前に突然思い立って台所に立った。一見きれいに洗ってあるように見えるほうれん草も、じゃぶじゃぶしたあとのボウルの底には黒い土がかなり沈殿している。茹でたあとさらした水にも少々溜まっている。なでるように揃えてしぼり、根っこを包丁で切り落とす。

まな板に転がる、7つの根っこ。じっと見ると、株先は浅緑からほんのりピンクのグラデーションがかかっていて、たいそう美しい。まるで乙女の乳首のようだ。なんだかそのまま捨てるのは忍びなくて、土がこびりついたぎりぎりのところまで刻み、野菜室に残っていた大根の茎も一緒に刻んでゴマ油で炒め、鰹節としょうゆで味付け。青く香ばしい匂いが深夜の台所に漂う。せっかくのきれいな色が褐色にくすんでしまい少々残念だったが、薫り高い炒め物ができた。

翌日の弁当は、炊きたてごはんに昨夜の炒め物を混ぜこんだ。おかずは味噌入りの玉子焼きと、ウインナと、おひたし。ありきたりのメニューだが、しっかりとうまかった。

今度は、乳首のさきっちょまで、ちゃんと爪楊枝かなんかで洗って、ぜんぶ食べてあげよう。