貧乏とカレー
あなたと居ない夜はだいぶさびしかった風呂で飲む酒の量も増えぶくぶくと濁った湯の中で髪ずぶ濡れにして胸の固まりを溶かしようやく朝になれば今度はゆうべのヘコタレ具合が情けなく腹が立ちあつあつのカレーうどんで体にカツ入れたつもり。
生茶のまずにいられない。はなまるうどんで「カレーうどん」と言ったはずなのに手渡されたのは「かけうどん」。丼になみなみと注がれた透明スープにたっぷりただよう白いうどん。これじゃあ気合が入らないよ・・・。
いつもなら甘んじて食べるが、今日はさすがに作りなおしてもらった。詫びのつもりか、いつもより肉とじゃがいもの量が多いような。いや、気のせいか。
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久本マチャミと柴田理恵が思い出の場所を訪ね歩く番組を見た。そこかしこに出てくる、貧乏の色。風呂なしは当たり前、屋外の蛇口から出る水で行水したとか、タダでもらったパンにレバーペーストつけて食べるのがご馳走だったとか、カレールーを溶いただけの具なしカレーライスが定番だったとか。今じゃベンツも買える、自宅も建てられる二人が、うまいうまいと、これらをガツガツ食べている。本当に、おいしいそうに。
夢があれば、貧乏は苦しくない。でも夢がないまま貧乏なのはひどく苦しい。この秋、ビンボーバトル番組「銭形金太郎」がゴールデンタイムに進出する。あれに出ている人たちの中の何割が、夢をもった貧乏さんなんだろうか。夢をもたない貧乏を見るのは、つらいな。
いや、それにしてもカレーは安いのにかぎるね。高いのは味が複雑すぎてカレーらしくない。日本のカレーは庶民の味であるべきだ。