青空と追憶のかけら

izumi_yu_ki2004-05-24

下北沢をてくてくてくてく歩いて歩いて歩いて歩いてレコード屋のぞいて不動産屋で物件立ち読みしてビール飲んでプレゼント買ってまたてくてくてくてく歩いて歩いて歩いて歩いているうちに夕方がすすり泣き始めたからあわてて立ち止まり傍らにあったバス停で坂を下り部屋に戻りベランダを見たら取り込み忘れたジーンズが濡れていた。

大五郎呑まずにいられない。きょうはグレープフルーツと黒酢で割ってみたら、けっこううまかったよ。ツーンとした刺激がちょっとナニだけど。

いい物件があったら多少無理してでも決めてしまいたい。貯金はまだ十分ではないが、ものごとには最適な時機があるから、それを見逃して後悔したくない。だから少々勇み足なれど準備は始めなければ。希望する場所を某所にいちおう決め、眉間にしわよせながら見て歩く。「For Rent」のアパートもチェックチェック。譲れないのは、・ベランダがあること・洗濯機室内・日当たり良好・ガスコンロが置ける・エアコン・2F以上。ついで、できれば・・・というレベルでは・台所に窓がある・収納が広い、公園や図書館に近い、って感じ。新築でなくてもいい。フローリングでなくてもいい。明るくて静かで、風通しが良い部屋に住みたい。

大きな家具はいらないが、木の本棚と小さめのお膳は買うつもりだ。プラスティックやスチールにはない、あたたかなぬくもりを感じる木製家具は、昔一緒にくらした祖母の思い出とつながる。

祖母が愛用していた、桐のたんすや姿見、裁縫道具入れ。何の変哲もないそれらを、祖母の背中とともに毎日眺めていた。祖母の先には縁側があり、そのまた先の庭には、祖母が近くの原っぱから抜いてきて植えた名もない花たちが、露を反射してきらきらと光っていた。別々に住むようになってまもなく祖母はなくなり、それらの道具は、気がついた時には残らず処分されてしまっていた。

私は祖母の形見を何一つ手に入れることができなかったが、その記憶はきちんと残っている。ひねくれた人生しか似合わないと多感な頃からずっとあきらめていたが、そんなことはなかった。私にだって「幸福」の雛形はちゃんとあったのだ。その平和な原風景を思い浮かべて、それに近いものを日常に増やしていけば、こんな自分でも、たぶん幸せになれるんじゃないかな、と最近思えるようになってきたよ。

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週末のほっとひといき。三宿FUNGOのテラスでターキーサンドウィッチ。アウトドアブランチで、ささやかなぜいたく。