土鍋deごはんreturns

izumi_yu_ki2004-04-08

悪い夢にうなされた朝に樹木希林田中麗奈のコマーシャルみたくあったかい湯気に満ちた台所の情景が突然恋しくなり猛然と台所に飛び込み冷蔵庫から米と炊き込みご飯のタネを取り出し土鍋でメシを炊く。

コーン茶飲まずにいられない。カルディコーヒーファームで大分前に買ったものだが、最新号の「クウネル」でとあるイラストレーターが愛飲していると知ってゴソゴソと棚の奥から取り出してティーサーバーで淹れる。甘くてうまい。

ずっと前から拙サイト(ジオシティーズの方の)をご覧の方なら「ああ、またか」と納得すると思うが、かつて一緒に働いていた同い年の女性から影響を受けて、数年前からときどき、土鍋でご飯を炊いている。当時、同僚の彼女は、毎朝1合のご飯を炊き、半分を弁当につめ、残り半分は夕食にしていた。土鍋だから当然、保温できなくて帰宅時には冷めているんだけど、“土鍋ごはん”は固くならず味も落ちず、そのまんま食べられるそうだ。

土鍋ごはんだけではない。私は、彼女のつつましくも楽しげな生活に、かなりショックを受けた。地方から上京してきて10年以上、彼女は風呂のないアパートで一人暮らしを続けている。給料はささやかで決して贅沢はできないが、男に頼るわけでもなく、実家に仕送りしてもらうわけでもない。日々の生活費をシンプルにし、こつこつと貯めた金で日舞を習い、旅行にも行く。たまには、彼女の留学先だった中国にもフラリと一人旅。本当に、うらやましいぐらいサラサラと気負いなく生活しているのだ。

「そりゃ、恋愛だってしたい、結婚だって諦めていないよ。寝る前とか、これからどうなっちゃうんだろうなぁって不安も湧くけど、朝になるとほとんど忘れちゃう。ノンキな性格みたいよ。で、とりあえずご飯の支度を始めて、また一日が始まって。とりあえず何とかなるんじゃないかって、根拠なく信じているのよ」

なんとかなるような気がする、と人生について気長に考えていられたら、どんなに幸せだろう。いくら取り越し苦労しても状況は改善しないのだから、ゆったりと構えていたい。でも、それがなかなか難しいのだな。

けさの土鍋ごはんは炊き込み。先週、花見用おにぎりを作った時、少し取り分けておいたタネ(ごぼうと人参あぶらげ鶏肉を刻んで甘辛く煮た)を米に混ぜ、醤油とつゆの素(にんべんのつゆを数年来愛用してます)、それと一掴みのかつおぶしを混ぜた。逆光でキラキラ光る湯気を顔に浴びながら、しゃもじでかき混ぜていると、久しぶりに、“おいしい生活”が戻ってきたような気がした。この調子だ。

        • 芋茎de追記

サイバラが新刊を出したと気づいた。先週末。書店で一気に立ち読みした。そして彼女が離婚していることを知った。そうかやっぱし。かあちゃんばんざい。サイバラ大好き。