ネットカフェ難民の若者は虐待の傷をもつという風評

仕事がひと段落ついたので、やっと自分の興味が向くままに本を借りて読んでいる。
ネットカフェ難民と貧困ニッポン」など、うっかりすると自分も落ちてしまいそうな貧しさの穴について著された本に目が向いてしまう。持ち金ゼロからお金を貯めるのは容易なことではない。少し貯まってきたかと思えば、それを待ち構えたようにトラブルが相次ぐ。病気だったり、仕事道具のクラッシュだったり。そしてまたやり直し。やがて這い上がる力をなくしてしまい、気がつけばホームレス。

においがきついと遠ざかり、気味が悪いと避けていた「ホームレス」と同じ状態になってしまった姿に驚く若者たち。親に頼れないのかという第三者の素朴な疑問は、彼らをサポートしているNPOスタッフのことばで合点がいく。
「逃げた虐待児は戻る家がないんです」

そればっかりじゃなかろうが、それは多いのだろう。

幸いにしてわが身は親からの虐待は受けたことがない。だが暴力の輪の中央でボコられる恐怖と暴力への服従プロセスは理解できる。DVは今に始まったことではないが、家族の個化がいちじるしいうえ着々と地盤沈下を起こすように生活が貧しくなっている日本で、社会的弱者はさらなる弱者を巻き込み、死に巻き込まれていくのだろうか。

わたしも。

ネットカフェ難民と貧困ニッポン (日テレノンフィクション 1) (日テレBOOKS―日テレノンフィクション)