Web上で生きつづける君たちへ

3月は友人をふたりも亡くした。

ひとりは女優を頑張っていた。とても明るくて気配りにも長けた美人さんだった。

けっこう話をしたつもりなんだけど、
彼女はふわふわとしていて正体をあまり明かさないから、面白いけどじれったい。
「よし次こそはもっと仲良く・・・」と彼女と次に会えるイベントを前に仕事を消化していた矢先、
彼女は心臓を止めてしまった。


彼女の弟君が書き込んだmixi日記での訃報を受け入れるのに数時間かかった。
彼女の学友や飲み仲間たちも混乱していたようだった。
前向きな印象しかなかったけど、死後、じつは恋に苦労していたらしいと伝え聞いた。


彼女の存在はmixiから消されていない。
ひょっこり新しい日記が更新されているんじゃないか、と皆思っているんじゃないだろうか。


もうひとりは、拙が一時期、本気で恋した年下のひとだった。会わなくなって随分たつ。

3月のはじめ、ふと思い出して名前を検索したら、事件ニュースばかりヒットした。
同姓同名かと苦々しく思いながら本文を読んでいくうち、
だんだん手は冷たくなり、反対に頭蓋骨があつくなっていった。
事件の被害者は、彼本人だったからだ。


繁華街の路上で酔客の一般人と口論の末殴られ、頚椎骨折であっけなく死んだ。
ぽろりと落っことしてしまった彼のいのちは、酔いが醒めただろうか?
それとも酔ったままバッカスに拾われていったのだろうか?


彼には、離れて暮らす10年来の恋人がいた。
北関東と東京という中距離恋愛にそろそろ区切りをつけなければと話していた矢先だったと、
所属するオフィスの社長が話していた。

ズキンと痛んだあと、じいんと痺れが広がった。

一度だけチラリと見た彼女はまだ幼さを横顔に残していた。
わたしが望んでも決して持ち得ない乙女の雰囲気に打ち負かされたあの夜。

静かに回想しながら、彼の残したWebデザインやテキストサイトを見て回った。
あんたもホントは生きてるんじゃないか?ネモチン。
http://www.youtube.com/watch?v=_FPXeBnyWCw&NR=1


そうか。いなくなった君たちは分子になってるんだね。
「kom’s log」4月7日
http://d.hatena.ne.jp/kmiura/20090407


愛すること、愛されること。大事にすること、大事にされること。
これら照れくさい言葉を、結婚している何組かの知人たちが忘れそうになっているのを
まのあたりにしている。


甘えがエゴイズムに変わっていることを意識できないと、きっと一緒にいられない。
意識しないと。気づかないと。失ってからでは遅いのに。


そう言いたいが、黙っている。かれらの事情があるのだから。