清楚な食卓

izumi_yu_ki2006-11-06

金土日の連休は給料入った直後だけにアレも買いたいコレも欲しいとなるところだが今回は空気が入りきらない風船みたいな気分で一日目一歩も外へ出ず二日目は夜だけ出かけ三日目になってやっと隣町まで散歩して太陽の光を浴びやっと精気を取り戻したが既に日曜日の太陽は暮れており。


チクテカフェのコーヒーのまずにいられない。


「チクテカフェは、いつ来ても変わらないスタンスで変わらない味を供することが使命」、と雑誌の取材で女性店主が答えていた。自分の美意識を守ることだけに集中し、その他のことは関知しないところが潔く、尊敬に値する。


メニューは増やさず、ひたすらにおいしいパンとサラダと野菜の煮物と、ゆったりした雰囲気を提供していくだけ。それ以外のところにはムダなエネルギーを決して使わない。あせりも欲もない、茶の心を抱いた店主。スタッフや客、ひいては店を覆う空気や雑草までも、店主の心意気に感化されて、奇跡のようなカフェを維持することに協力しているようだ。


店の周囲は決していい雰囲気ではなく、しばしば無意識の妨害に遭っているのだが、不思議なことに、いつのまにか無害になってしまう。店先の邪魔くさい自動販売機は横腹を木の扉で囲んだらディスプレイの一部のようになった。玄関に無粋にも打ち付けられた土建屋の殴り書き看板は、なぜかツタに覆われ、これも取り込まれてしまった。しなやかな生命力に包まれたこの店の前を通りがかるたび、うらやましい気持ちになる。


少々力をうしなった体に、先月はお疲れ、今月も頑張ろうね、的な心をこめ、久しぶりにチクテに寄った。閉店まぎわの比較的すいてる、ゆったりした時間。ニース風サラダの卵はやはりきっかり12分茹でたベストな半熟だったし、マフィンの歯ざわりも、最初食べたときの旨さのままだった。


きっちりといつもおいしい、を続ける心を見習いたくなる。