今週号の週刊文春に

彩香ちゃんが臓器移植後まだ闘病中の時期に書かれたご両親の手記が掲載されている。それによれば、両親が移植手術のことを知り病院へアポイントした時すでに成功が難しい状態だったとある。思いがけないスピードで募金が集まり願いは果たされたが、やはり昨日と同様、それがベストだったと考えることは、まだできないでいる。彼女の体にこれ以上メスを入れず、痛みだけを取り去って「その時」を待つことは選べなかったのか?

手術前は、明日にでも命が天国へひとっとびしそうなほど、状態は酷かったと手記からうかがえる。それほどであれば、痛みをとろうとすれば意識がなくなってしまい、笑うことも泣くこともできなかったかもしれない。「生かそう」とするなら、手術の道しかなかったかもしれない。

ご両親にとっては、募金開始から愛娘の死まで、強風の嵐に呑まれるようにあっという間に駆け抜けた数ヶ月だっただろう。「これしかない」と思っただろう。この家族はこれからも“精一杯”生きた娘を抱えて生きていく。

が、彼女を助けよう!と手術募金活動を祭りのように盛り上げた名無しの方々の中には、もう彼女らのことを忘れかけ、ワールドカップや他の趣味、興味で頭がいっぱい、という人が少なからずいる。そのことはその当時から予想されたが、いざその状態を見ると、やはり空しく、痛い。