おかあちゃんの弁当箱

izumi_yu_ki2005-05-17

ああ母ちゃん結局中学高校6年間ずっとほぼ毎日弁当つくってくれてたんだよねブーブー文句いっててごめんねウインナと卵焼きとノリ弁でも今なら十分満足できるよ。

と思いつつコンビニの具沢山スープのまずにいられない。豆や野菜がごろごろ入っていて栄養はあるだろうが、味気ない。粗末であっても、やっぱ手弁当のがいいや。

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高価なわっぱの弁当箱を買って以来、周囲のモノを大事に扱うようになったかもしれない。たったひとつの愛着で、なぜか拙の心は、ちょっと女らしくなったような気がする。しかし、大事に思う気持ちが裏目に出ているところもあるようだ。自分の持ち物をぞんざいに扱われると穏やかでいられなくなり、無用な苛立ちが生まれてしまう。「執着」は、あんまり得意ではないんだけど。

部屋に来ていた友人への昼ごはんを、わっぱに詰めておいたら、ぺろりと全部食べてくれてはいたんだけど、箸は投げ出され、弁当箱は机の上にフタ開けたままであって、米がこびりついてカピカピになっていた。残業疲れでへとへとになりながら帰宅してこれを見たとき、「あーもう風呂入って寝よ」とヤケッパチな気分になりつつも、すぐにスポンジで傷がつかないように洗ってカゴにそっと伏せておいた。宝物だもん。

学生の頃、食べ終わった弁当箱を部屋に置きっぱなしにして、数日後に流しにこっそり置いておいたら、母親にものすごく叱られた。忘れちゃったんだから仕方ないじゃん、なんて思って悪びれないバカ娘。情けない気持ちがわかんないのかお前は、とか大きくため息をつきつつ、異臭ただようそれを、帰ってすぐ通勤着のまま夕飯の支度しつつ、やわらかいスポンジでていねいにていねいに洗ってくれた。弁当箱ひとつ買うのだってウチは大変なんだよ、と静かに諭す母の背中を、悪かったよぉと薄く反省しながらわざと見ないようにした。

ごめん。かあちゃん。これからできるだけモノは大事に扱うよ。ひとが大事にしているものも、できるだけ大事にするよ。