かっこ悪いオトナ

叔父が亡くなってから恋にしても仕事にしても生活にしてもうわっついて調子が悪くマイナスな自分ばっかり出てきて自己嫌悪でもういやだウワーンと泣きたくても枯れた声ばかり出て涙がちっともこぼれなくてウソ泣きなんじゃないの突っ込みを入れたくなるほど今の自分なんて大嫌いだ。

アルコールなんでもいいから呑まずにいられない。

近親者が死ぬ時は,不思議なほど自分の大きな節目にあたる。老人病院で祖母が死んだ時に長年付き合っていた男と別れた。祖父が死んだ直後には体を壊して仕事を辞め,しばらく療養をしていた。そして今回。なんだかんだで2年近く住んだあばら家を引き払い,他人とのルームシェアをすることに決めた。シェアは長くても半年。シェア予定人には婚約者がいて,おそらくちかぢか部屋を明け渡すことになるからだ。ひとりであの部屋の家賃は払い切れないから,それまでに体勢を整える必要がある。

あばら家には相変わらずガス湯沸かし器もきれいに映るテレビも洗濯機もない。風呂もなく,共同トイレは先日から詰まったままだ(毎月管理費を払っているというのに!)。得体の知れない隣人に遠慮しながら,冷たくなにもない部屋で夜明かしするのは,いい年した女にはけっこうつらい。自分から望んでミニマムな生活をあえて始めたものの,この殺伐さによって,精神的にもだいぶダメージを受けてしまった。

部屋はぬくもりがあってこそ,居心地がいいものだ。温めても温めてもすぐに冷える,なにもなくつめたい箱の中に,これ以上いたくない。

ルームメイトは私をそれほど好んでいるわけではない。できれば一緒に暮らしたくないようだ。それでも,私は好意を乞うことを選ぶ。身を小さくして他人の玄関先に仮住まいを借りながら,自分の居場所を作るための準備を,します。

マザーグースの話で「どうしてあなたはお酒を呑むの?」ときかれた呑んべが「自分が酒を呑んでいることが恥ずかしいからだよ」というのがあるが,その気持ちが少しわかる気がする。

呑まずにいられない自分に直面したくなくて,深く酒を飲む。いつになったら依存せずにひとりで気持ち良く,酒なしで眠ることができるんだろう。