乗り換え駅、あるいは通過する駅

理由はよくわからない。廃線や廃墟に惹かれることがある。


本線から見放された駅。駅弁配布駅としてちょっともてはやされたが、それはほんのひととき。忘れられ、この世に存在するだけで酸化し、すべらかだった線路も錆び朽ちて土に還る。ホームは褐色に腐り、うなだれる。そんな風景をみると胸の芯がチリリと痺れて動けなくなる。無意識にシンクロしてるのかもしれない。


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おおらかな心をもったひとになりたい。信じたものを掌にのせ、見守っているような。ずっとそう思ってきたし、これからもそれが目標だ。


怒らない。笑みを絶やさない。いけずも許す。できる限り努力しているのに、理想はいつも遠くに霞んでおり、ちっとも近くならない。


苦しいときにやむを得ず降りて休憩する駅。乗り換え路線を変えいつもと違う駅を経由して気分リフレッシュ。いっときは大事にされるが、忙しくなれば通過される。乗り越される。あなたがたは終着駅に一直線。わかってるよ疲れてるんだよね。だから仕方ないよ。


ひとりの部屋にもどり、痛む体をどさりと横たえて天井をみる。また呼吸が苦しくなる。


かみさまがニヤリと笑ってこう言ってる気がする。


お前はだれの終着駅にもなれない、運命だ、いい加減諦念を身につけろ。