ピンクとブルーのシガレッツ

煙草なんてほとんど吸わないけど、ピンク色したパッケージのを一箱。同じような色の細いライターをいっぽん、酒屋の横で買ってみた。

外部に急かされ内部にも追われ様子を按配し利己的なふるまいに時にはきつい言葉を投げれば言い訳されるがこれも役割と堪え、ほっとしたくなる、夕暮れのひととき。

一服。ただ口腔内を巡回させて息を吐く。スモーカーは深く吸い込み、惜しそうにゆっくりと吐く。かれはニコチンでリラックスし、わたしはその姿をみて肩の力を抜く。

ちょっと交換しようかと、もらった煙草。箱の真ん中に1本だけ青い箱のそれ。


家でくゆらせてみた。ウッとなり、咳き込みながらも、どうにかして味わおうと時間をかけてみる。甘い香りと、ずっと見るともなしに見守ってくれていた、あの優しかったひとの体のかおり。
たしかこれを同じ銘柄だった。

そのひとのちょっとはにかんだ笑顔を思い出す、わたしのおいしい一服。