下北駅前市場の名店がまたひとつ灯を消す

ビールのあとは、禁断のハシゴ酒。
シモキタンなら間違いなく知っている、通称「Cろーさんの店」に数ヶ月ぶりに顔を出す。拙がここに引っ越す前からの町友達で、共通のバーで毎夜飲んだくれてた仲間。今年の春、45歳にしてやっと(奇跡的に?)所帯をもったせいか、暴れていた頃の面影はすっかり消えて穏やか。サッポロビールを手渡されながらつれづれ話。

「あぁそうだ、泉ちゃん、今シモキタでバーテンやってるんだよ知ってる?」
「えーそうなの!!全然知らなかった。実家に帰ったんだじゃないんだ」
「うん。で、そこの道ですれ違ったんやけど、あの子完全に無視するから、ちょっとショックやった・・・」
泉さんは、Cろーさんと拙が知り合った店のバーテンダー。Cろーさんは彼女のことがすごく好きで、毎日毎日、一度来て他の店にハシゴしてからまた戻ってきたり。彼女を主人公にした小説まで書いてたっけな。そんな風にカッコ悪さ全開でジタバタと片思いしていたところを、カウンター席の隣で見守っていた、わたくし。

泉さんは変わったかしら。Cろーさんはずいぶん変わった。わたしもけっこう変わったと思う。一度ぐらいは彼女の新しい店に顔を出してみようかしら。

Cろーさんは年内いっぱいで今の店をしめて湘南で若奥さんとともに居酒屋をひらくらしい。あとちょっとだ。もうすぐだ。せつないね。