営業畑のダイコン役者

昨日、萎れた状態でタイムカードを押しエレベーターを降りたら、玄関に「辞めたいから社長に『あいつは使えない』と言ってクビの理由をつくってくれないか」とのたまった男が待っていた。人が弱るとスリ寄ってくるヤツだから、こんな日はホクホクと愛想がいいったらありゃしない。「なんで**さんは辞めることができたんですかねえ、ぼくはもう辛くて」なんて昔の社員の話を持ち出しながら自分のことを愚痴り始めた。こんなのに付き合わされたらたまらん。「**さんはもう次の職場が決まってたからね」と普通に返したあと、「あ、じゃあお疲れさまー」と、とっとと逃げた。


週末から月曜日にかけてこの男は会社を休んでいた。自分の仕事を上司にダメ出しされるのが嫌で仕事する気にならなかったらしい。もとはPC関係の取引先回り営業をしていたということで、おっとりと関西語を話す物腰は柔らかく、人当たりはいい。しかし本質は、姑息でプライドばっか高いヤツと思う。


忙しい時期に辞職を持ち出された時と違い、もう彼を引き留める事情はない。安心して(とっとと)辞表を書いてほしいと思う。もう「辞めたいのに辞めさせてもらえない」被害者を演じなくてもいいから。